1999年「家・庭」 | |
昔、私が生まれ育った家は藁屋根、その屋根には時々草が生えていた。 土間を挟んで、東側は座敷、西側はかまどや囲炉裏や五右衛門風呂、そして、馬屋があった。 裏庭には井戸があり大きな欅の木が数本、家を守るかのように空にそびえていた。 家の前の庭は農作業の場所。 春は苗床を作り、夏は干瓢、秋は米を干し、冬は焚き火無くてはならない庭だった。 夏、庭一面に干された真っ白い干瓢は照りつける太陽の下、白く輝いていた。 秋、脱穀されて、何十枚ものむしろに干されたお米は、庭一面を埋め尽くした。 放し飼いだった鶏がその米を突っつきにやってくる。 突っつくだけならまだしも、足で蹴散らすから大変、追い払う。 これまた、放し飼いだった犬の白(シロ)は、しらんふり・・・・・もう老犬だった。 時々、父は馬に鞍を乗せ、近くの皮の土手を走った。 昔、トラクターなどなかった時代は重要な働き手のひとり? その馬の目が大きくて澄んでいて、睫毛がとても長くてきれいだったこと・・・・・・・ いつまでも忘れない・・・・・・・ |
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